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[端書] さとり×早苗


 口吻ける端から、熱を纏わせた息が漏れ出てしまう。息苦しいのではなく、恥ずかしさで呼吸を留めておくことが上手くできなくなってしまうような。――こうして早苗にキスをしてもらえる時には、いつもそれぐらい心や躰が儘ならなくなるみたいだった。
 二人して未だ慣れていない口吻けは、何度か回数を重ねた今でも上手く交わすことができない。唇の位置がずれたりするのを、二人して瞼を閉じたまま、感触だけを頼りに見えないまま修正していく。やがて上手く交じり合いさえすれば、触れ合うだけのキスでも熱い互いの息が行き交いを始めて、さとりの口の中に、そして喉にまで熱を持ったまま辿りつく早苗の吐息が、余計にこちらの躰に熱を帯びさせてくる。

〔舌を入れてみたいなんて言うのは……さすがにはしたないかな〕

 双眸を閉じていても、早苗の中に僅かに浮かんだその心をさとりのもう一つの瞳は見逃さない。
「んっ……」
 小さく上がった声は早苗のもの。さとりが静かに差し入れた舌先に反応した、早苗の驚きの声。
 けれどその動揺も一瞬の声にしか顕れない。すぐに早苗は総てを理解したかのように、さとりが侵入させた舌を歓迎するように、自分の舌を絡ませてくれた。
 キスにさえ慣れていないのに、まして舌を絡ませるようなキスに全く慣れていない私たちはすぐに息苦しくなって。どちらともなく絡まりあった舌はやがて解けて、私たちは少しだけ離れた距離で荒くなった息を整える。
 ようやく呼吸を落ち着かせてから早苗のほうを見ると、早苗もまたさとりのほうを見つめ返していてくれて。
「やっぱり……少しだけ恥ずかしいですね」
「そう、ですね」
 頬に深い紅を浮かべながら、そう言ってくれる。
 きっと私の頬も、早苗に判るぐらい赤くなっている。

「……ですが。こういうのは、とても……倖せです……」
 まるで何かに感じ入るかのような、深い瞳を湛えながら。早苗は静かに、そう呟いてみせた。



 キスを交わしたり。あるいは、躰を交わし合ったり。
 そうしたお互いの欲情をぶつけあう淫らな行為の中では「愛してる」という言葉を早苗は軽々しく口にしない。
 きっとそれは、彼女なりの「愛している」という言葉に対する敬意からなのだろう。早苗が「愛してる」という言葉を直接ぶつけてきてくれるのは、いつもお互いが真面目に向き合える瞬間だけだった。

 代わりに、こうした深いお互いの結びつきを感じる瞬間には、いつも早苗は「幸せです」と言ってくれて。
 私は「幸せ」と早苗が口にする裏側で、いつも囁いてくれている(愛してる)の言葉を、そのまま感じることができるから。
 ……だからきっと。私たちはこの世界で誰よりもお似合いの、恋人同士になれていると。
 過信ではなく、そう思えるのだ。

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